令和3年〜7年度 学術変革領域研究A 生物を凌駕する 無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
領域概要
研究領域について
本領域では、天然物(細胞)の再現ではなく、その機能を超越した応用可能・社会実装に資する分子システムをボトムアップに構築することを目指します。
近年、ボトムアップに細胞を創る研究が世界中で勃興してきました。これらの研究では、細胞の機能の一部を模倣する分子システムを部品(タンパク質、核酸、脂質など)から再構成することで、その機能を発現するのに必要十分な条件を解明することなどを目指しています。一方、構築した分子システムを応用・社会実装する思考を持つ研究者は多くありません。自然界は、様々な部品や変異の組合せを試し、そのうち優れた機能を発現可能なシステムを選択するというダーウィン進化を原動力の一つとし、高機能分子システムを創り出してきました。一方で、このような複数の部品の最適な組合せ探索(進化)という視点で分子システムを構築する例も限られています。
本研究領域では、細胞そのものを部品として使うことなく、分子・材料からボトムアップに構築した分子システムを無細胞(cell-free)分子システムと名付けます。生体分子に加え、有機化合物、高分子、マイクロ・ナノデバイスを、計算科学を活用しながら組み合わせ、天然の細胞の能力を超える、あるいは天然の細胞が持たない能力を有する「超越分子システム」を組み立てます。具体的には、様々な構成要素の最適な組み合わせを探索しながら分子システムを構築することで、要素間の相互作用を定量化し、分子システムを創るための新しい学理の創生を目指します。
領域代表ご挨拶
令和3年度から学術変革領域研究(A)「超越分子システム」がスタートしました。私、東京科学大学地球生命研究所の松浦友亮が領域代表を務めさせていただきます。本領域では、専門性の大きく異なる研究者が集まって新しいサイエンスを創り出し、学術を変革することを目指します。領域の研究をより活性化するために、多様な研究者に参画いただけると幸いです。(2021年10月30日)
松浦友亮
東京科学大学地球生命研究所・教授
博士(工学)、チューリッヒ大学博士研究員、大阪大学大学院工学研究科助教、准教授等を経て2020年9月より現職。専門は、無細胞生命科学、合成生物学、進化分子工学。科研費助成事業 学術変革領域研究(A)「生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学」領域代表
領域班構成